サブクラス482ビザと日系企業のオーストラリア派遣ガイド
- ニック・ウィリアムズ

- Aug 13
- 3 min read
Updated: Dec 18

日本企業のオーストラリア派遣とサブクラス482ビザの概要
日本企業が、自社の社員をオーストラリアに派遣し、マネジメント職や専門職、技術職などに従事させたい場合、一般的に利用されるのが「サブクラス482」ビザ(通称:テンポラリーワーキングビザ)です。これは、オーストラリア政府が認定する「スポンサー企業」による雇用前提の就労ビザです。
この制度を利用するには、まず日本の企業が「スタンダード・ビジネス・スポンサー(Standard Business Sponsor)」として承認される必要があります。スポンサー企業になるには、たとえばオーストラリアに支店を開設する予定がある場合(「海外スポンサー」)や、既にオーストラリアにある子会社へ社員を異動させる「社内転勤(intra-corporate transfer)」のケースなどが該当します。
サブクラス482ビザの種類と申請条件
サブクラス482ビザには複数の「ストリーム(種類)」がありますが、主なものは以下の2つです:
コアスキル・ストリーム(Core Skills Stream):オーストラリア内務省(Department of Home Affairs)が定める「スキル職業リスト」に掲載された職種向け
スペシャリスト・スキル・ストリーム(Specialist Skills Stream):高年収の専門職向け
ビザの有効期間は最長4年間で、配偶者や子どもなどの家族も一緒に申請できます。
このビザを取得するためには、主な申請者(駐在社員本人)がオーストラリアでの職務に必要なスキルや経験を有していることを示す必要があります(通常は関連する学位+類似職種での最低1年以上の実務経験が求められます)。社内転勤として派遣される場合、多くのケースでは英語力の証明は免除されます(ただし、一部例外あり)。ご家族については英語要件は不要ですが、全員が健康診断と無犯罪証明等、オーストラリア政府の「健康・品行に関する要件」を満たす必要があります。
家族帯同、就労制限、健康保険のポイント
なお、サブクラス482ビザでは、主申請者はフルタイムでスポンサー企業のみで働く必要があります(一部の上級管理職等には例外あり)。一方、配偶者は就労の制限がなく、フルタイム・パートタイム、または自営業も可能です。お子さまは、私立校または公立校に通学できますが、公立校の学費は移住先の州や準州によって異なるため、事前の確認が大切です。
健康保険についても注意が必要です。サブクラス482ビザは一時的な就労ビザのため、オーストラリアの公的医療制度「Medicare」の対象にはなりません。そのため、すべてのビザ保持者は民間の健康保険に加入する必要があります。BUPA、Medibank Private、nibなどの主要保険会社は、サブクラス482ビザ向けの専用プランを提供しています。また、企業によっては家族もカバーする法人保険に加入できる場合もあります。
永住権への移行可能性
そして、このサブクラス482ビザは、将来的に永住権を取得するためのステップにもなり得ます。たとえば、一定の条件を満たすことで「サブクラス186(Temporary Residence Transition)」という雇用主推薦による永住ビザへ移行することが可能です。もしご家族がオーストラリアでの生活を気に入り、この地に長く住みたいと考えた際には、ぜひ雇用主にご相談されてみてください。

ニコラス・ウィリアムズ
不動産エージェント豪州公認移民コンサルタント/TOTAL MIGRATION SERVICES PTY LTD
ニュージーランド出身で、移民関連業界歴20年以上携わっています。TOTAL MIGRATION SERVICES PTY LTD代表コンサルタントとして、移民法の政策のトレンドに精通し、様々なビザ案件を手掛けながら、特に雇用主スポンサービザに焦点を当てています。
大学卒業後に1年半ほど過ごした日本、とりわけ旅行で訪れた九州の大ファンになり、料理好きも相まって、豚骨スープを手作りし自宅で「本格的豚骨ラーメン作り」を楽しむまでとなりました。天気の良い週末には海辺をドライブしたり、庭でB B Qをしたりと、これぞオーストラリアなライフスタイルも満喫してます。


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