オーストラリアで16歳未満のSNS利用を禁止へ|現地のリアルな状況
- ニック・ウィリアムズ

- 3月10日
- 読了時間: 4分

2025年12月10日より、オーストラリアでは世界で初めて、16歳未満の子供を対象としたSNS利用を法律で禁止する規制が施行されました。対象となるのは、Facebook・Instagram・TikTok・YouTubeなど主要ソーシャルメディアです。
この規制は、ソーシャルメディア上でのいじめや未成年者を狙った犯罪、有害コンテンツの閲覧、デジタル依存などから子供たちを守ることを目的としています。
企業側には、16歳未満が新しくアカウントを作れないよう対策する義務が課せられ、違反した場合は最大約5000万豪ドル(約50億円)の罰金が科されます。一方で、利用者側には罰則はありません。
規制が発表された当初は国内外で大きな議論を呼び、メディアでも大きく取り上げられました。では、現在の状況はどうなっているのでしょうか。
オーストラリアのSNS規制とは(2025年施行)
主な禁止対象SNSサービス
Facebook
Instagram
Kick
Reddit
Snapchat
Threads
TikTok
Twitch
X(旧Twitter)
YouTube
オーストラリアの子どもとスマートフォン・SNS事情
現在のメルボルンの状況として、Nick (筆者)個人のケースを紹介します。
我が家には、17歳の息子と14歳の娘がいます。
17歳の息子は規制対象年齢ではないため、これまでと変わらない生活をしています。もともとソーシャルメディアの利用頻度は高くありませんが、友人とのメッセージツールとしてInstagramを使っているため、もし使えなくなったら不便だろうという感想でした。
一方で、14歳の娘はまさに規制の影響を大きく受けた世代と言えます。
ネット調査によると、オーストラリアでは
約91%の子供が16歳までに初めて携帯電話を持つ
約62%が12〜15歳の間に初めて携帯を持つ
という結果が出ています。
そのため、
13歳未満→ SNSデビューしていない、または使い始めたばかりの層
13〜15歳→ すでにSNSが生活の一部になっている層
という違いがあります。
このため、娘を含めた13〜15歳の子供たちはSNSが使えなくなることに大きな不満を感じていました。
16歳未満SNS規制:オーストラリアの子どもたちの反応
2025年12月10日になると、それまで毎日使っていたアプリが「使用不可」のメッセージとともに使えなくなりました。
しかし、子供たち自身もある程度理解していたこともあり、娘やその周りでは大きな混乱や不満爆発などはなく、静かに受け入れられた印象でした。
子供たちは事前に規制対象外のアプリを調べ、現在はそれらを使って友達と連絡を取り合っているようです。
SNS規制の問題点① 実効性への疑問
ネット上では、この規制についていくつかの課題も指摘されています。
その一つが、実効性の問題です。
例えば
VPNの利用
年齢の偽装登録
などによって、規制を回避できる可能性があります。
実際にメルボルンでも、年齢を偽装してアカウントを維持している子供は一定数いるようです。
ただし、現在13〜15歳の世代が16歳以上になった後は、状況が変わる可能性もあります。
これからの世代は、最初からSNS規制が存在する環境でスマートフォンを持つことになるため、わざわざ年齢を偽装してまでSNSを始めたいと思うのかは分かりません。
SNS規制の問題点② プライバシー問題
もう一つ議論になっているのがプライバシーの問題です。
厳格な年齢確認を行うために
顔認証
身分証提出
などが必要になる場合、個人情報保護の観点から懸念が生まれます。
例えば、あるオンラインゲームでは、子供を守る目的で一緒にプレイできる年齢層を制限し、顔認証で年齢確認を行う仕組みを導入しています。
以前は「中学生だと思って遊んでいた相手が、実は年齢を偽装した大人だった」というケースもありましたが、顔認証により同年代と遊んでいる安心感が得られるようになりました。
ただし、その一方で個人情報の扱いという点では課題も残ります。
子どもの安全を守るための世界初の取り組み
この政策は、子供の安全を最優先する民主主義国家としては初の試みであり、保護者の期待だけでなく世界からも大きな注目を集めています。
まだ課題も多く、議論が続いている段階ですが、今後どのように制度が改善されていくのか、長期的な視点で見ていく必要があるでしょう。

ニコラス・ウィリアムズ
不動産エージェント豪州公認移民コンサルタント/TOTAL MIGRATION SERVICES PTY LTD
ニュージーランド出身で、移民関連業界に20年以上携わっています。TOTAL MIGRATION SERVICES PTY LTD代表コンサルタントとして、移民法の政策のトレンドに精通し、様々なビザ案件を手掛けながら、特に雇用主スポンサービザに焦点を当てています。ニックは、オーストラリア登録移民エージェント(MARN 1067210)です。大学卒業後に1年半ほど過ごした日本、とりわけ旅行で訪れた九州の大ファンになり、料理好きも相まって、豚骨スープを手作りし自宅で「本格的豚骨ラーメン作り」を楽しむまでとなりました。天気の良い週末には海辺をドライブしたり、庭でB B Qをしたりと、これぞオーストラリアなライフスタイルも満喫してます。

