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オーストラリアで雇用する際の落とし穴と注意点

更新日:4月29日

オーストラリアで人を雇うとき、企業が特に注意しなければならないのが「Award(アワード)違反」です。 Awardは、業界ごとの最低労働条件を定めた制度ですが、もしこれを守っていない場合、企業は Fair Work Ombudsman の調査対象になる可能性があります。

わずかな給与計算のミスであっても「Award違反」と判断される可能性があり、企業にとって大きなリスクにつながります。

特に日本企業の場合、日本の給与体系の感覚のまま運用してしまい、知らないうちに違反しているケースも実は少なくありません。

この記事では、オーストラリアにおけるAward違反について、

  • Award違反とは何か

  • 違反した場合に起きること

  • 実際に多いトラブル事例

  • 企業が注意すべきポイント

を、実務目線で分かりやすく解説します。


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Award違反とは何か?

Awardとは、オーストラリアにおいて業界・職種ごとに定められた最低労働条件のことです。

具体的には以下のような項目が含まれます。

  • 最低賃金

  • 残業代

  • Penalty Rate(休日・夜間手当)

  • 雇用形態ごとの条件

オーストラリアではすべてAwardに基づいて給与や条件を設定する必要があり、これに見合わない場合、「Award違反」とみなされます。

「少しのズレだから問題ない」という考え方は通用しません。

制度として明確に定義されているため、違反の場合は、従業員から訴えられることも珍しくありません。


Back Pay(未払い給与)が発生する

Award違反が発覚した場合、まず企業が対応しなければならないのが、未払い給与の支払いです。

これは「Back Pay(バックペイ)」と呼ばれ、過去に遡って不足分を支払う必要があります。

単発のミスではなく、同じ条件で給与計算を続けていた場合、以下のようなケースで数年分の支払いが発生します。

  • 残業代の未払い

  • Level設定の誤り

  • Penalty Rateの未払い

結果として、企業によっては数万ドル以上の負担になることも珍しくありません。


Award違反、調査はどう始まる?

Award違反の調査を行うのは、Fair Work Ombudsman です。

多くの場合、調査のきっかけは「従業員からの申告」です。

例えば、

  • 給与が市場より低いと感じた

  • 残業代が支払われていない

  • 同僚との条件に差がある

といった違和感から相談が入り、調査に発展します。

企業側が「問題ないと思っていた」ケースでも、第三者の視点では違反と判断されることは往々にしてあります。


悪質な場合は罰金や経営者個人の責任も

Award違反が重大または悪質と判断された場合、企業には罰金が科される可能性があります。

さらに注意すべきなのは、責任が企業だけでなく「経営者個人」に及ぶケースがある点です。

オーストラリアの労働法が、コンプライアンス責任を強く求めているため、単なるオペレーションミスでは済まされない可能性がある点は、特に海外進出企業にとって重要なリスクです。


よくあるAward違反の3パターン

実務上、特に多く見られるのが以下の3つです。

① Level設定ミス

職務内容に対して、適切なLevelが設定されていないケースです。

本来より低いLevelに設定されている場合、最低賃金自体が不足している状態になります。

levelの決めからについては’こちらの記事を参考にしてください。


② 残業代・Penalty Rate未払い

オーストラリアでは、時間外労働や休日勤務に対して追加賃金が発生します。

これを支払っていない場合、典型的なAward違反となります。


③ Casual Loadingの未払い

カジュアル雇用の場合、通常25%のLoadingが必要です。

これが支払われていない場合も、違反と判断されます。


日本企業が雇用で特に注意すべきポイント

日本企業がオーストラリアでの人材雇用で特に陥りやすいのは、

「日本の常識のまま運用してしまうこと」です。

例えば、

  • 年俸制にして残業代を考慮しない

  • Awardの確認をしていない

  • Level設定を行っていない

こうした状態は、知らないうちに違反を生み出す構造になっています。制度を理解していないと労務トラブルになりかねません。


まとめ

Award違反は「知らなかった」では済まされない

Award違反は、オーストラリアにおける代表的な労務リスクのひとつです。

重要なポイントは以下の3つです。

  • 不足給与はBack Payとして遡って支払う必要がある

  • Fair Workによる調査が入る可能性がある

  • 場合によっては罰金や個人責任が発生する

企業にとっては、「知らなかった」では済まされない領域です。

だからこそ、採用・給与設計の段階からAwardを正しく理解し、運用していくことが不可欠です。


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楠本 岳(Kusumoto Takeshi)

人材コンサルタント/CAREER MEISTER

2007年にオーストラリアの人材紹介会社に転職し、メルボルンへ移住。

人材営業、メルボルン支店長、会社取締役を経て2014年末に独立の為に退職。2015年2月にCAREER MEISTERを創業。 日系企業のオーストラリアビジネス参入や事業発展を人材面から支えるプロフェッショナルとして、これまでに100社を超える企業への紹介実績と5000人以上の面談実績、500人を超える成約実績。現在は CAREER MEISTER (Kusumoto & Co Pty Ltd) のCEOを務める。


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