オーストラリアの試用期間(Probation)とは?

日本企業の駐在員がオーストラリアで採用を担当すると、まず戸惑うのが試用期間(Probation)の考え方です。
日本では、「試用期間=様子を見る期間」「合わなければ解雇できる期間」と思われているケースがほとんどです。
しかし、オーストラリアでは試用期間は、「お試し期間」ではなく「リスク管理の期間」ですので、その認識を持っておくとわかりやすいと思います。また、試用期間でも、普通の従業員と同じ扱いになる点は注意しておきましょう。
NES(最低労働条件)は通常通り適用
有給休暇も普通に積み上がる
Notice(解雇予告)も必要
日本の試用期間
日本企業では、試用期間は人となりを確認する期間として使われることが多いです。
会社に合うか
人柄はどうか
仕事の姿勢はどうか
そして、「本採用にするかどうか」という判断が行われます。
オーストラリアの試用期間
一方でオーストラリアでは、「とりあえず採用して様子を見る」という採用は、あまり一般的ではありません。理由は後ほど説明します。そのため、試用期間の目的も日本とは少し違います。
試用期間の本当の目的
オーストラリアの試用期間は主に次の3つです。
1. パフォーマンス確認:期待していた能力があるか
2. 役割との適合性確認:職務内容に合っているか
3. チームとの相性確認:職場文化に合うか
そして、試用期間にはもう一つ「雇用リスクの管理」という重要な役割があります。
オーストラリアでは、不当解雇(Unfair Dismissal)の申立てには最低勤続期間があります。
一般企業:6ヶ月
小規模企業:12ヶ月
※2026年現在
この期間を超えると、解雇はかなり慎重に進める必要があります。
企業側から見ると試用期間は、企業が採用リスクをコントロールするための期間としても考えられます。
日本企業がオーストラリアで採用するときに注意したいこと
日系企業でよく見られるのが、採用を急ぎすぎることです。
オーストラリアの多くの企業では、「とりあえず採用して試用期間で判断しよう」ではなく
採用の時点でかなり厳しく選ぶのがごく普通です。
なぜなら採用ミスはコストが高いからです。そのため採用プロセスが長くなるケースもあります。
オーストラリア企業では、採用ミスを最小限に抑えるために採用前にスキルの確認やリファレンス確認を行います。
複数回面接
リファレンスチェック
スキル確認
採用に時間がかかるのは、「採用前にリスクを減らす」という考えが定着しているからです。
駐在員が理解しておくべきポイント
オーストラリアで人材を採用する場合、この試用期間を正しく認識しておくことが重要です。
「試用期間で判断するのではなく、採用前に判断する」
まとめ
オーストラリアの試用期間は、「お試し採用」ではありません。
本当の役割は次の3つです。
1. 採用判断の最終確認
2. パフォーマンスの確認
3. 雇用リスクの管理
つまり、試用期間は「企業と従業員の双方がミスマッチを防ぐための期間」 です。
オーストラリアで採用を成功させるためには、試用期間に頼るのではなく、「採用プロセスそのものをしっかり設計すること」が重要になります。
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楠本 岳(Kusumoto Takeshi)
人材コンサルタント/CAREER MEISTER
2007年にオーストラリアの人材紹介会社に転職し、メルボルンへ移住。
人材営業、メルボルン支店長、会社取締役を経て2014年末に独立の為に退職。2015年2月にCAREER MEISTERを創業。 日系企業のオーストラリアビジネス参入や事業発展を人材面から支えるプロフェッショナルとして、これまでに100社を超える企業への紹介実績と5000人以上の面談実績、500人を超える成約実績。現在は CAREER MEISTER (Kusumoto & Co Pty Ltd) のCEOを務める。



